正直、今回の「ANDROGYNOS - THE FINAL WAR -」の発表があった時の心境は複雑だった。もうPIERROTは、ピエラーとしての自分は、7年前のANDROGYNOSの時に終わったはずだった。今、取ってつけた様に復活するのに何の意味があるんだろうか?あまりにも商業的ではないのか?客入りも微妙なんじゃないのか?
正直、そう感じていた。
しかし、終わってみればそんな気持ちは消え去った。
目次
「ANDROGYNOS」とは?
DIR EN GREYとPIERROTは20世紀末を代表するヴィジュアル系二大巨頭バンドで、ライバルとして語られることが多く、そのファン同士は長らく不和や対立構造にあると語られていた。ある種、二大宗教としてその歴史が語り継がれてきた。
PIERROTはDIR EN GREYとほぼ同時期にメジャーデビューし、カリスマ的な人気を誇った。まあ最短でのドーム公演や当時かなり珍しいインターネット生配信ライブを行なった。そして2006年に解散。その後2014年に復活し、事実上の解散ライブを行う。
DIR EN GREYはデビューから現在に至るまで日本及び諸外国でもツアーを行うなど、その人気は海外にまでも及んでいる。
その2つのバンドが2017年に行った対バンイベントこそがANDROGYNOSだ。これをもって、永らく語り継がれてきたDIR EN GREYとPIERROTによる二大宗教戦争は終結を迎えた。
ピエラー現虜の自分が感じたこと
ライブレポと銘打ってるけど、レポじゃない。感想。
当時、PIERROTを好きになったのは「ハルカ…」から。雷に撃たれるという表現がピッタリなくらいの衝撃を受けた。そこから数ヶ月後に発売された1stアルバム「FINALE」の封入特典で何とか取れた横浜アリーナのチケット。これは、ぼく自身生まれて初めてのライブとなった。その後、ファンクラブに入り、翌年行われた西武ドームのライブを皮切りに、PIERROTのライブに通う様になった。
バンギャ文化、ピエラーの所作、全てが懐かしい。当時はインターネットやSNS、
この会場に当時のファンクラブの伝言ダイヤルでやりとりしてた人たちがいるかもしれない。そう感じると急に実感が湧いてきた。
久しぶりに歩く原宿は、すれ違う血塗れの包帯や十字メイクに腕章、安全ピンとゴッツイトランクケースのカバン
当時初めてきた原宿で感じたドキドキ感が蘇った。
ライブ前に復習するつもりが、あまり映像を見る時間もとれなかった。ストグラ、ゲーム実況など他の可処分時間の消費コンテンツが手に溢れている。食事の後からお風呂に入るまでに子どもが見るKPOPのMV、スキビディトイレの映像、マイクラのうるさいコンテンツ。
それでも、骨身に染み付いた思春期の感性は簡単に消せるものじゃなかった。キリトの扇動で、自然と振りが出た。逆に虜でもあるけれどDirの方のセトリは面食らいましたw
最後のSEPIAでは思わずウルっと来てしまった。そういえばPIERROT解散後に、Angeloの初お披露目があったのは代々木公園の無料ライブだった。開演前に周辺を散策してみたけど、当たり前のようにその場所は無くなっていた。
もう、これが生涯最後。PIERROTを見ることは、もう今後ない。(2日目は子どもの運動会と被ってて断念)
そう思って、身構えていて訪れた最後の曲がSEPIAだった。PIERROT解散時のライブで最後に演奏された曲。不意をつかれて思わず涙が出た。ウルッときた。でもポロ、ツーがなかった。下まぶたがでかいのかな。
DIR EN GREYの方に関してはいつも通りだった。と言いたいが全然そんなことなかった。何あのセトリw
DIRのライブ中の中盤あたりにいつも個人的にシンドイ部分がある。シンドイというのはそのままの意味ではなく、虚脱状態というか。ライブ始まりで激し目の曲が続いていい感じにのってきたあたりで、いきなりダウナーな曲が連続するようなシーンというのがある気がする。これサウナでいうところのいきなり冷水に入ったあたりの状態なのかもしれない。そして、その後ひたすら「鱗」とか「The Perfume of Sins」とかがくるみたいな。体は動かしているが、脳みそはさっきのままで、これが虜式整う〜かよと。ただ今回のセトリは、永久にこの整う〜(整ってない)状態でしたw
セトリ
PIERROT
- HAKEN KREUZ
- Adolf
- MAD SKY-鋼鉄の救世主-
- ドラキュラ
- ENEMY
- 脳内モルヒネ
- ゲルニカ
- パウダースノウ
- 鬼と桜
- REBIRTH DAY
- CREATURE
- 蜘蛛の意図
- HUMAN GATE
- SEPIA
DIR EN GREY
- 13
- 人間を被る
- T.D.F.F
- 脈
- The Perfume of Sins
- The Devil In Me
- Ranunculus
- 輪郭
- カムイ
- 鬼眼
- Eddie
- 鱗
- 詩踏み
- 羅刹国
ENCORE
- G.D.S
- 朔-saku-
- 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
PIERROT単独公演発表
2日目のチケットは泣く泣く手放したので参戦しておりません。(幼稚園の運動会で頑張る子の姿は、SEPIAの時の感動に勝るとも劣らない)
特に何のお知らせとかもないだろうけど、ニューアルバム出しますとかだったら嬉しいなと考えていました。そうしましたら、来年2月にライブをやるというニュースが飛び込んできて激アツ。いけるといいな
しんぺーはこう思った。
そこには、間違いなくあの時の時間が流れていた。でも、それは決して未来ではなく、過去という時間でしかない。けれども、ここからは未来へつながる時間が始まるのかと思うと、少しの不安とともに意味や意志が湧いてくる。
多くは語るまい。起こったことのみが真実だった。
正直、最近ライブや音楽への関心が以前に比べて薄れてきていた。
ストグラやその他のコンテンツ、自分そのものが老化したり、子どもが大きくなるにつれてというのももちろんある。可処分時間や可処分所得の変化。かけられる時間やお金が変わってきた。
それでもいいと思っていた。
ただ、この日、自分のためだけの時間が流れた時、もう少し抗ってみようと思った。流されるままに、自分の興味関心が消失し、気がつく頃には引き返せなくなって後悔するよりも、自分の好きを大切にしたい。形やかけられる時間やリソースは変わったとしても、好きという情熱そのものを消滅させる必要なんて全くなかった。
これからも、この絶縁世界にいる間だけは自分のための自分でありたいと、改めて思った。